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食を通じた地域活性化~震災後の現状と課題について~

今回は、食を通じた地域活性化について、最近の取り組みをいくつか紹介しながら勉強しました。
活性化の方向性については、大きく「産品の販路拡大」と「地域への誘客装置づくり」という、二つの方向性があると考え、事例を調べました。
1.産品の販路拡大

第1に、「地域からの」産品の販路拡大です。
この場合、農水産品や加工品を都市部や海外などへと販路を拡大することが目標です。特に生産者が中心となることが多く、産品のマーケティングやブランディングが課題となります。
以下で、成功例や近年の傾向を紹介します。

1-1.生産者の取り組み例:和郷園

生産者の取り組みとして、98年設立の農事組合法人「和郷園」(所在地:千葉県香取市、代表:木内博一氏)の例を取り上げました。

和郷園は生産者の出荷組合で、
・農場+本部センター+堆肥リサイクルセンター+野菜加工場+直売・レストランの設備を持ち、「自然循環型農業」で差別化をしている
・92軒の農家が加盟し、グループ全体で1500人の雇用を産み、年商40億円を達成している(2009年)
・売買契約を成立させてから生産する「注文生産」方式を導入し、青果市場には出さない
・タイでのマンゴー生産など海外展開も行う
などの特徴を持ちます。(成功理由の詳細は後日取り上げたいところです。)

1-2.自治体の取り組み例:えひめカフェ

愛媛県が主導し、2月から約1カ月間、表参道のカフェや美容室24店舗で、愛媛産食材を利用したメニューを提供するイベント「えひめカフェ」を取り上げました。目的は、特に若年層に対して愛媛県産食材の認知度を上げることです。「こたつでみかんを楽しめるカフェ」など、感覚に訴える仕掛けづくりが特徴です。

企画の背景は、県でのかんきつ類の収穫量が30年間で半減したことです。そこで高付加価値品種を中心とするブランド戦略を策定し、生産者団体と共に食材の拡販を目指す「えひめ愛フード推進機構」を設立し、この取り組みに至りました。
自治体による拡販の取り組みは、従来には百貨店フェアや展示会での出品、アンテナショップ運営などが中心だったのですが、この取り組みでは、「若者」という新たな層へ訴求しようとしていることが特徴です。

1-3.海外生産団体の取り組み例:米国ポテト普及協会

日本の生産者団体は地域別に構成される事が多いですが、海外では産品別の生産者団体も見られます。その中で、マーケティングや販促活動に長けていることで有名な米国ポテト普及協会を取り上げました。

全米約4000のポテト生産者が共同出資する非営利団体で、米国内外に事務所をもっており、日本でも特に外食企業に対しPRを行っています。1971年の設立から現在までの間に、アメリカのジャガイモ輸出量を10倍強に拡大させたのは、この協会の力だと言われています。

1-4.飲食店から見た地域産品のメリット

地域産品に対しては、一般用だけではなく、業務用からの注目度も上がっています。
外食企業の場合には、
・新規メニューの考案による差別化が可能。特に集客が厳しい時期に目玉を作れる
・中間流通を省き、生産者との直接やり取りが可能。高額な物流コストを一部抑えられる
・「生産者が分かる食材」を求める消費者のニーズに応えられる
ことが特に地域産品利用のメリットとして挙げられることが多いです。

とりわけ3・11後には、食の安全・安心に対する意識が高まり、生産地や流通のトレーサビリティについて関心が高まった
と言われています。
参考:楽天リサーチ「震災後の意識に関する調査」

2.地域への誘客装置づくり

もう一つの食を通じた地域活性化の方法が、「地域への誘客装置づくり」という手法です。
特に近隣の都市部などからの集客のため人を呼び込む装置を作ります。イベントなどを発端に始まることが多いですが、いかにその効果を持続させ、まち全体のブランド価値向上につなげていくのかが課題となります。

2-1.商工会の取り組み例:富士宮やきそば

地域の家庭の味を使ったまちおこしとして、また「B級グルメ」ブームの火付け役としても有名な例です。
青年会議所(当時)の渡辺英彦氏が中心となって2000年に「富士宮やきそば学会」を立ち上げ、これまでに積極的な話題づくりやメディア露出により知名度を上げていきました。

富士宮市への経済効果は、2001~2007年の6年間で217億円とも言われています(やきそば、関連食材、PR効果、観光など)
田中章雄氏は、特にメディア戦略がうまいイベント例として取り上げています。

2-2.飲食店の取り組み例1:街コン

地域の活性化に対しては、地域の飲食店が主催となるイベントも多いですが、「街ぐるみの大型合コン」として注目を集める「街コン」もその一例です。

参加料を支払えば、地域の加盟店で自由に飲食ができ、新しい出会いや交流ができる仕組みで、3000人規模でも開催されています。ルーツは、中心市街地に活気を取り戻そうと、宇都宮で2004年に始まった「宮コン」とされており、中心となったのは飲食店経営者・佐々木均氏です。地域の良さを伝え地域全体の活性化につなげることがもともとの狙い、とのことです。

2-3.飲食店の取り組み例2:食べないと飲まナイト

飲食店主催のイベントとして、飲食店の食べ歩きイベント「食べないと飲まナイト」という例も挙げられます。
事前に5枚綴りのチケットを購入し、対象の店舗で提示。専用のセットを頼み、各店をはしごする、という仕組みです。昨年5月上野ではじまり、広島、神楽坂、赤坂と各地へ拡大してきました。

目的は、集客によって地域を活性化するとともに、顧客をシェアすることによって飲食店間や別の商店街とのつながりを深めることだそうです。

3.感想・考察

浅く広く事例を紹介するようなかたちになりましたが、近年の取り組みでは、官民の協力や、団体の再編、別業界のつながりなどが目立つよう感じています。
「6次産業化」の動きとも連動し、今後もこのトレンドはつづくと思われます。

<参考資料>
田中章雄 (著)『事例で学ぶ!地域ブランドの成功法則33
事例で学ぶ!地域ブランドの成功法則33 (光文社ペーパーバックスBusiness)』光文社、2008年
木内 博一(著)『最強の農家のつくり方
最強の農家のつくり方』PHP研究所、2010年
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